典型的な薬の血中濃度推移グラフの見方はわかりましたが、実際に服用している薬について同様にみてみます。
単回として服用した場合、いつのタイミング体内で作用し、その後、排出されるまでの時間を知る事が分かります。
この事は、離脱症状が辛い時、避けたい時に、頓服として服用する場合の効果時間の目安になります。
目次
番外編:減薬が辛い方へ
離脱症状が辛い方や、血中濃度などに興味がある方もいらっしゃる方も多い位かと思います。
残念ながら離脱症状を容易に解消する方法は現在のところありません。みなさん大変な苦労をしています。(一般的に、1か月間で耐性が付き離脱症状を起こさない様に薬を経つには、1年半~3年間程かかります。これは、離脱症状で悩んている方々の一般的な期間です。) (薬を止めて離脱症状の出る方は、5~6割程度、全くでない方は4割程度に見受けられます。)
一気断薬だけは絶対に避けてください。その後の効果が出る服薬量が3倍~10倍程度の量となり、場合によっては、後遺症として長きに渡り残ります。
多少趣旨は異なりますが、現在離脱症状に苦しんでいる方の参考になるような記事がございますのでリンクを張っておきます。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の最高血中濃度到達時間, 半減期の比較
私は、レキソタン®(ブロマゼパム)を服用しています。減薬するに当り、その薬の特性を知りたく、まずは最高血中濃度到達時間と半減期について調べてみました。また、過去に服用したことのある薬にて比較をしました。
抗不安薬 | 最高血中濃度到達時間(h) Tmax |
半減期(h) t1/2 |
セラニン(レキソタン) |
1.31±0.52 | 30.97±8.45 |
ジアゼパム錠2「サワイ」 | 1.0±0.6 | 51.7±40.6 |
メイラックス | 0.8±0.3 | 122±58.0(59.2~207) |
デパス | 3.3±0.3 | 6.3±0.8 |
※それぞれの医薬品添付文書を読み、表を作成。原本の医薬品添付文書は以下のとおり。
- セニラン錠1mg/ セニラン錠2mg/ セニラン錠3mg/ セニラン錠5mg/ セニラン細粒1%
- ジアゼパム錠2「サワイ」
- メイラックス錠1mg/ メイラックス錠2mg
- デパス錠0.25mg/デパス錠0.5mg/デパス錠1mg/デパス細粒1%
上記の値を比較すると、薬ごとに最高血中濃度到達時間はさほど開きが無いのに対して、半減期は大きく幅があることが分かります。
私として、意外に思ったのはデパスです。(私は服用する機会は少なかったのですが)イメージでは「効きが速くて、抜けが良い」というイメージですが、Tmaxは3.3時間と思いのほか長い事でした。t1/2は6.3時間なので抜けが良いのは想像しやすいです。
デパスを服用されている方の効果の表れる体感は「30分程」という事なので、これらの数値は、単純に薬物動態的にという事なのかもしれませんね。
また、私はレキソタンを服用していますが、効果の表れる体感は、服用して20分後。服薬用量にもよりますが、効果は8~15時間程度という感じです。
※減薬中は離脱症状の出るギリギリの用量にしていますので、長くて12時間程度。離脱症状が出てしまった日の場合、1日2回の服用では、3時間程度堪えなければいけなく辛かったので、1日3回の服用で8時間ごとに服用する様にしています。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の血中濃度推移の比較
先に示した、最高血中濃度到達時間と半減期の表では、短い期間(1日~4日)での血中濃度の様子が分からない為、医薬品添付文書に記載されている、血中薬物濃度推移グラフを読みます。
しかし、それぞれ、時間幅、線形軸/対数軸などの表記が異なる為、それぞれのグラフから値を読取り、一つのグラフにまとめました。
それを以下に示します。
それぞれの薬における血中濃度推移に対する所感
私が、このグラフを読んだ所感は以下の通りです。
レキソタン(セニラン)
最高血中濃度に達した直後から等比率(傾き)で少なくなっていることが分かる。
かなり綺麗で理想的な落ち方と思う。
その比率(傾き)はジアゼパムとほぼ同じと言えるため、減薬において、わざわざジアゼパムに置換する必要は無いと思いました。
ジアゼパム
ベンゾジアゼピン系の減薬にジアゼパムなど半減期の長い薬に置換をし、進めていくため、ジアゼパムの血中濃度推移に興味があった。
傾きが二段階で変化するが、24時間以降のなだらかな範囲にて、下支えをしながら安定的に減薬をさせていくと考えらえる。
メイラックス
ジアゼパムと同じく、傾きが二段階で変化する。
10時間後に急激に傾きが変化するが、半減期が非常に長いため、後半のなだらかな範囲が長期間積重なり下支えをすると考えられる。
連用では、服用時に大きなピークが出ると思われるが、上記の長期間の積重なりに比べれば、さほど大きなピークは出ないと考えらえる。
一時的に離脱症状が辛い場合に、頓服的な使用(一時的に量を増やすなど)は出来なくはないだろうが、長期間残りすぎる為、離脱症状の傾向や因果関係を見つけたい場合には向いていないかもしれない。
その点、ジアゼパムの方が半減期的にも程好いのかもしれないです。
デパス
最高血中濃度に達した直後から等比率(傾き)で減少し、非常に綺麗な理想(教科書)的な落ち方と思う。
それはさておき、効いた感覚の良さと抜けの良さがデパスの減薬の難しさなのかもしれない。
精神的依存も起こしやすいのかな…。
まとめ
一枚のグラフにまとめると、それぞれの薬でかなりカーブが異なる事は意外だった。
※同じベンゾジアゼピン系なので半減期など時間だけで挙動に大差はないと思っていた為。
多剤服用している場合は、半減期の短いものから減薬と言われているが、その人の体質などによって、ローテーションをしながらバランスよく減薬をする方法もあるかもしれない。
レキソタンのままで減薬するメリット/デメリット
メリット
- 自分の身体には感覚過敏に対してレキソタンが一番効果があった。
- 離脱症状が出た際に、一時的に増量して効果が素早く出る。(20分間程度)
- 半減期が適度なため、減薬ペースのスピードの良し悪しの結果が早く出る。(体感では4日後)
デメリット
- 一日の服用回数を減らせる。かもしれない。
- メイラックスなどの下支え + レキソタン減薬という方法もあるかもしれない。( ただ、何か起きた際の原因を見つけづらいかも知れない。 )
よって、私の場合、わざわざ置換をするほどのメリットは得られないと感じた為、レキソタンで減薬を進める事にしました。
ここまでは、単回での服用で検討しましたが、実際には反復服用になります。
この後、反復服用の説明をしたいと思います。
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