減薬ペースについて(線形vs指数関数)

水溶液減薬法では規定量に溶かした薬を注射器などで抜き取り、(週毎や毎日ごとに)少しずつ減らして減薬をしていきます。その減らし方について基本的な考え方として二つあるので説明をします。(実際には組合せて使用すると良いと思います。)

「減薬と指数関数は無縁では?」と思う方もいらっしゃると思いますが、実はアシュトンマニュアルや心療内科で減薬の際に言われる様な「最初の二週間は半分にして、その次はまたその半分、その次はさらにその半分」といった、1錠 → 1/2錠 → 1/4錠 → 1/8錠…が指数関数的な減らし方です。

離脱症状の出やすい方には、半分ずつ減らしていくのは少々厳しいので、指数関数的に減らす際に間を刻みたい時に使える考え方です。

直線的な減薬 (線形)

減らす際に元の水溶液に対して、同じ量を減らしていく方法です。

100mlからスタートした場合、

100ml → 98ml → 96ml → 94ml …

と幅が毎回同じです。(等差数列)

毎回2mlずつ減らしているので「毎週の減薬率 2%」と表記する場合が多いですが、正確に言うならば「(薬を希釈し)容量100mlに対して毎週2%のペースで減らしている。」となりますでしょうか。。。(日本語の問題なので難しい。)

この減らし方は毎回同じ量を減らしているので線形的に減らしていると言えます。

計算もしやすく直観的なのですが、前回(先週)と比べた変化率は、一定ではありません。

服用量は直線的に減っていき、また、前回との変化量(注射器などで抜き取る量)は一定です。これが、減薬率が一定と思わせる錯覚の原因なのですが、実際に身体が服用している薬の量の変化率は後半になるにつれて急峻になっています。この方法で減薬をしている人が後半で離脱症状が辛くなる人の原因の多くはここにあります。

抜粋しますと、

1週目→2週目 変化率: 1.0%
33週目→34週目 変化率: 1.5%
40週目→41週目 変化率: 1.7%
50週目→51週目 変化率: 2.0%
70週目→71週目 変化率: 3.3%
80週目→81週目 変化率: 5.0%
90週目→91週目 変化率: 10.0%

後半になるにつれ急激に変化していきます。

計算は楽(→計算ミスも少ない)ので、実用上はこの方法で良いと思いますが、離脱症状などきつくなってきた段階で、減薬率を見直す必要があります。

曲線的な減薬 (指数関数減衰)

一方、前回からの減薬率を一定にする方法がこちらになります。

100mlからスタートした場合、

100ml → 95.0ml → 90.3ml → 85.7ml …

と幅が毎回変わっています。(等比数列)

ここでは変化率を5%としていますが、この例ですと、

100ml × 0.05 (5%) = 95.0ml
95.0ml × 0.05 = 90.3ml
90.3ml × 0.05 = 85.7ml

となり、変化率を一定にさせています。

毎回、計算をしないといけないので(しかも端数が出てくる)、面倒ですが身体が感じている変化量は一定になっているのが特徴です。

服用量は指数関数的に減らしていきます。

服薬量は曲線的に減っていますが、赤線で示した変化率は一定になっています。

この方法のメリットは、減薬開始の方では、(自分にあったペースさえ見つかれば)一気に服用量を減らせるところです。一方、後半では一向に減っていきません。と言うより、0に近づくばかりで永遠に0にはなりません。(0に漸近していくだけです。)

全体の減薬計画として加速できる場面は前半ということですね。

ただ、後半で離脱症状など問題がなければ、同じように巻き返しはききます。(とはいっても無理はしない方が良いですよね。)

先に、0に漸近して永遠に0にはならないと記しましたが、逆にいうと、「いつかは0にしなければならない(=ジャンプ)」ということが無いとも言えます。ですので、自分が安心できるところまで、ステイや減薬を進めることが出来るメリットもある、かもしれません。(少々無理やりですが。)

デメリットとしては、計算が少々面倒なのでミスが起こる可能性があるという所ですね。特に寝ぼけていたりすると。

よって、メモ帳やエクセルなどで先に計算をしておいて、それを見ながら、服薬量を調整していくと良いです。

まとめ

ここでは、直線的な減薬の仕方と指数関数的に減らす方法を説明しました。

どちらが優れているという訳でないです。身体への変化率を一定にする為には指数関数的に減らす必要がありますが、身体の状態は一定という想定した場合です。

私の経験では、減薬を進めていくと、身体がベンゾジアゼピンを感じる感度が変化している様に思います。

そのため、私は特にどちらかの方法に拘らずに、適宜組合せています。

現在の私の減薬状況

現在の減薬状況

更新日: 20年5月27日
※基準は12mg/dayがスタート値でそれを100%と記しています。

先月の状況↓↓

14ヶ月目…

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