ミルクタイトレーションについて

水溶液減薬法では一般的に水が使用されていますが、本当は脂肪分が含まれている牛乳が良いとされています。

ここで、ベンゾジアゼピン系の成分と水で行う水溶液減薬法での注意点を記したいと思います。

水と牛乳の比較実験

ベンゾジアゼピンの成分はほとんど水に溶けません。その為、私は牛乳(飲むヨーグルト)で水溶液減薬法を行っています。


薬のデータについては本投稿最後の『備考: ベンゾ系の抗不安薬,睡眠薬の成分について』に記しました。

実験①

私は当初、利便性の面から水での希釈を行いました。

レキソタン 4mg/1回 (1日3回服用: 12mg) を 100mlの水で撹拌し、そのまま飲みました。
(減薬はしていない。)

2日間ほど続けると、離脱症状が出始め、1週間程度行いましたが酷くなる一方でした。

服用後のビーカーの内側を見るとコーティングされたような独特の膜が形成されており、レキソタンの成分は容器壁面に付着していると考えられました。
ある一定量が減薬されてしまっていたのですね。

その後、水での希釈実験前の錠剤で同用量を服用すると離脱症状は解消されました。

実験②

次に牛乳で同様の実験を行いました。
①と同様、同じ薬の用量(減薬はしていない)を牛乳で溶かし、1週間ほど服用しましたが、離脱症状は起きませんでした。

※私は牛乳は苦手な為、飲むヨーグルトを使用しました。

実験の結論

これらの事から、

水では薬のある程度成分はビーカーの壁面に付着し、一定量が減薬された状態になっている

と結論付けました。

※実験②の後にもう一度、実験①の追試験を行いましたが、同じ結果になりました。

補足: 牛乳以外の代替品探し

牛乳以外の選択肢は無いかと、他にも、スティックタイプのインスタントコーヒー, コーンスープ, ココアを試しましたが、油分が多すぎると錠剤が綺麗に崩れない(そのまま固形物として残っている)、コストパフォーマンス、通年安定した入手性 / 製品の供給状況の懸念などから、牛乳(飲むヨーグルト)を選択しました。 ※豆乳も実験しようと思いましたが、「1日3回 毎日飲むのは嫌だなぁ。」「外出先での入手性も心配」と思い、実験は行いませんでした。

また、注射や点滴に使用するベンゾジアゼピン系の薬剤もあるので、その添加物を調べたところ、大体、アルコール系の薬剤が使用されていました。安全に長期間、人が服用するものとして、現実的では無さそうです。。(アルコールは特に相互作用がありますしね。)

水でもOKなのはなぜ?

既に減薬,断薬成功者の方々は水で行っているので、実用上は水でもOKと言えるでしょう。
私の場合は、常用量離脱が起きている状態からのスタートだった為、ビーカー壁面に付着した減薬量ですら堪えきれなかったと考えられます。
水でうまく行えている方は、離脱症状が起きる薬の量が処方量を上回っていた為、付着した減薬量は無視できるスタート量だったのではないかと思われます。

また、レキソタンなど錠剤の形を成している添加物は水に対して、容易に崩壊し、粒子として水の中を漂いますが、ミクロで見た場合その添加物の表面積が大きいために薬の成分は、そちらに付着しているものと考えられます。(消臭剤に含まれる活性炭が、その複雑な凸凹の表面積に臭いを吸収する様に)

速くかき混ぜ、浮遊している粒子をシリンジで抜き取って実現できているのはこのことからと思われます。

まとめ

私は、長期間、減薬を進める中で、その時の段階に応じ希釈率を変えたり、ビーカーの大きさや、携行用の容器 / 水筒など表面積がまちまちになるだろうと思い、希釈率, 減薬率を安定して管理できる、牛乳を使用する事にしました。 (私は正式には飲むヨーグルトです。)

牛乳などの乳製品飲料での希釈をオススメしますが、正直手間はかかります。 (特に衛生面での管理)

乳製品飲料での希釈のデメリット

  • 薬との相互作用が心配
  • 外出先での持ち運び (牛乳は痛みやすい為、保冷する必要がある。)
  • 溶けているか分からない
     → 溶けていえる状態までかき回す。(別途記します。)
  • 泡が立ち目盛りが読みにくい。
     → これも別途記します。
  • 乳製品アレルギーの人は難しい。。
  • 食中毒にならない様に衛生面の管理。(特に夏場)

ただ、容器の変更したことによる心配 (結果は、2~4日後に離脱症状として出るため気がかりは避けたい)、計画的に行えている安心感。の理由から、こちらを選択しました。

水で希釈を行う場合のポイント

水で行う方がほとんどと思いますので、私が思うポイントを記してみます。

始めから終わりまで同じ容器を使用

水で減薬を行う場合、減薬開始から終わりまでなるべく同じ容器を使用した方が良いと思います。
容器を変えたことにより表面積が変化し、服用量の変化に気づきにくいためです。

また、容器を変える場合には、今の自分の離脱症状の状態を基準として、減薬率を柔軟に変化させて良いと考えています。
なぜならば、そこで減薬率の変更をさせても、実際に服用している薬の服薬量は同じと言えるからです。

自分の身体(症状)がモノサシです!

容器はガラス製が良い

プラスチック容器よりガラス製が良いです。
プラスチックは油脂と相性が良いため、付着しやすいです。(特にポリプロピレン。プラスチック製の計量カップは大体ポリプロピレンです。)

また、金属製は、表面に細かな凸凹があるので付着しやすい可能性があります。ホーローはガラス質の釉薬(うわぐすり)でコーティングされているのでOKです。

ただ、溶けにくい薬は水を電子レンジで温めたりする必要もあると思いますので、電子レンジを使う場合にはガラス製が良いと思います。

IHやコンロなどの直火で温める場合にはホーロー製を選とよいでしょう。

ポイント!

容器内面への付着は避けられないので、同じ容器を使用するなど一定の条件になる様に心がけましょう!

★水溶液減薬法を始めて、「1%の減薬でも離脱症状が出てショックだった。」という記事を目にしたことがありますが、きっとそれは、容器内面に付着して、離脱症状が出てしまった可能性もありますので、びっくりする必要は無いと思います。(私は、減薬をせずに同用量でも起きたので、水溶液減薬法は使えないのかと相当焦りました。)

また、ここから言えることは、水溶液減薬法を始めた方は、減薬対象の薬と水との溶け方、容器との相性を確認する為に、しばらく(1週間程度)は減薬をせずに同用量を水溶液で溶かしたもので様子を見ることをお勧めします。







備考1: ベンゾ系の抗不安薬,睡眠薬の成分について

数種類のベンゾジアゼピンの性状を調べました。その医薬品添付文書を以下に記します。

※SSRIなど他の向精神薬については調べていませんが、薬が作用する為に血液脳関門を通る必要がある為、脂溶性であり、同様の性状と考えられます。

セニラン (レキソタン)

白色〜淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、メタノール、エタノール(99.5)又はアセトンに溶けにくく、水にほとんど溶けない。

引用:セニラン錠1mg/ セニラン錠2mg/ セニラン錠3mg/ セニラン錠5mg/ セニラン細粒1%

ジアゼパム錠2「サワイ」

ジアゼパムは白色〜淡黄色の結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。アセトンに溶けやすく、無水酢酸又はエタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチルエーテルにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。

引用:ジアゼパム錠2「サワイ」

メイラックス

ロフラゼプ酸エチルは白色の結晶性の粉末でにおいはない。
本品はジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく、アセトニトリル、酢酸(100)又は酢酸エチルにやや溶けにくく、エタノール(95)、エーテル又はトルエンに溶けにくく、水、ヘキサン又はヘプタンにほとんど溶けない。

引用:メイラックス錠1mg/ メイラックス錠2mg

デパス

白色〜微黄白色の結晶性の粉末である.エタノール(99.5)にやや溶けやすく,アセトニトリル又は無水酢酸にやや溶けにくく,水にほとんど溶けない

引用:デパス錠0.25mg/デパス錠0.5mg/デパス錠1mg/デパス細粒1%

備考2: 薬と牛乳との相互作用

基本的に、薬(全般)を服用する際は、牛乳は控えた方が良いとされています。牛乳の油脂分やカルシウム成分が相互に作用してしまうためです。(強めてしまう場合と弱めてしまう場合がある)

ベンゾジアゼピン系での牛乳との相互作用を調べたところ、添付文書から見つけることは出来なかったのですが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬である「ドラール(クアゼパム)」と牛乳を一緒に飲むことを注意喚起する記事がありました。

牛乳といっしょに飲むと、効きめが強まる薬もあります。薬のなかには脂に溶けやすいものがあり(脂溶性)、牛乳の乳脂肪分で溶けて吸収が良くなりすぎます。

とくに注意が必要なのは、睡眠薬のクアゼパム(商品名ドラール)。牛乳といっしょに飲むと、起き上がれなくなったり、息苦しさなどの危険な副作用がでるおそれがあります。

引用:牛乳で飲むと効きめが低下する薬、副作用が強まる薬

ドラールは、基本的には空腹時で効果を発揮するように作られているお薬になります。ドラールは吸収効率が悪いお薬ですが、脂に溶けやすいお薬のために、食後に服用すると食事中の脂肪とともに吸収されます。3倍ほども吸収されてしまうため、お薬が効きすぎてしまいます。

ですから必ず就寝前に服用することが大切です。そして、牛乳などで服用することは避けてください。

引用:【精神科医が解説】ドラール(クアゼパム)の効果と副作用|こころみクリニック

他の薬での相互作用を見つけることはできませんでしたが、ドラール以外の薬でもベンゾジアゼピン系である以上、牛乳との相互作用には十分に注意を払った方が良さそうです。

現在の私の減薬状況

現在の減薬状況

更新日: 20年5月27日
※基準は12mg/dayがスタート値でそれを100%と記しています。

先月の状況↓↓

14ヶ月目…

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